ストレッチの効果的な方法を徹底調査

ストレッチ

ストレッチの種類を知ろう

ストレッチには、今から体を動かす、というときに行うウォーミングアップのストレッチと、運動後や寝る前に疲労を取り除くための行うストレッチがあります。寝る前に行う種類のストレッチを運動前にたっぷり行ってしまうと、いざ運動するときに筋肉が高いパフォーマンス力効果を失ってしまう可能性がありますので、知っておく必要があります。

寝る前や運動後のストレッチ

スタティックストレッチ(静的ストレッチ)

反動や勢いをつけずにゆっくりと筋肉を伸ばしてキープするストレッチです。疲労回復や、リラックスするために行います。

逆に、運動前にこの静的ストレッチをやり過ぎてしまうと、筋肉がリラックスしてしまい、運動で高い成果を出せません。

この静的ストレッチは入浴後や運動後など体が温まっている時に行うのがベストです。寒い環境や体温が低い状態で行っても、筋肉が伸びにくいので効果があがりません。カチカチに固まった、冷凍のお肉を想像して下さい。柔らかくするためには、温めた方が効果的ですよね。

体を柔らかくしたい方は、運動後こそ、チャンスです。

  • 副交感神経が優位に働きやすくなる。身体をリラックスさせる効果。
  • 静的ストレッチは、体を伸ばすための各姿勢を20〜30秒間維持することが重要

運動前のストレッチ

ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)

運動前は、筋肉や腱を温めながら動かす、いわゆる「準備体操」です。腕を大きく回す、足を振り上げるなど、運動前は体を動かしながら行う動的ストレッチが効果的です。表と裏、一対の筋肉を意識して行います。

昔は、静的ストレッチ(一定の時間伸ばしてキープするストレッチ)をしてケガを防ごうという考えが一般的でした。しかし、最近では運動前に筋肉を伸ばしすぎるとパフォーマンスが悪くなる、という考えが主流です。また近年では、運動前の静的ストレッチにはケガを防ぐ効果はないという研究結果が出ているそうです。

また、動的ストレッチの一種で、反復運動で弾みをつけて徐々に身体を大きく動かしていき、頂点で筋肉を伸ばすものを、バリスティックストレッチと言います。ラジオ体操なども、このストレッチに含まれます。

  • 関節を動かしながら行うストレッチ。
  • 交感神経が優位に働きやすくなる。交感神経が働き、身体は活発に動く。
  • 目的は関節や周辺の筋肉を柔らかくすること

体の柔軟性を高めるためのストレッチとは?

ストレッチには、動的ストレッチと、静的ストレッチの2種類があることを説明致しました。それでは、体を柔らかくするストレッチは、どちらでしょうか?

答え:両方

もちろん運動後や入浴後に行う静的ストレッチが、筋肉を伸ばすのには効果的です。しかし、筋肉を動かすことで筋肉の血行を良くし、使わない事による「硬さ」を予防するためには、動的ストレッチも取り入れると良いと言えます。

「体の柔らかさ」にも種類がある

一言に体の柔らかさと言っても、「疲労によって硬くなった筋肉がほぐれる」ことと「関節の可動域を広げるために筋肉を伸びやすくする」という2つの柔らかさがあります。体を柔らかくするためには、ストレッチ効果の両方を意識する必要があります。

硬くなった筋肉がほぐれるから柔らかくなる

同じ姿勢を長時間続ける、またはスポーツで使いすぎて、疲労によって硬くなってしまった筋肉がほぐれることによる柔らかさは、横断的柔軟性と言います。

関節の可動域が広がるから柔らかくなる

関節の可動域を広げることを目的とし、筋肉が縦方向に伸びる柔らかさを縦断的柔軟性と言います。

ストレッチの素朴な疑問を解決

ストレッチは何秒続ければいいの?

筋肉を伸ばすことを目的とした「静的ストレッチ」は、

15秒〜20秒程度を3セットが良い

と言われています。

筋肉を伸ばすとき、怪我防止の体の反応として筋肉は縮もうとします。ゴムのように、伸ばすと元に戻ろうとする働きです。なので、短い秒数だけ伸ばして辞めてしまうと、筋肉は伸びません。

20秒程度を伸ばし、それを数回繰り返すことで、この元に戻ろうとする反応(伸張反射)が鈍くなってきます。

ただし、研究の結果としては

30秒伸ばしても、60秒伸ばしても、効果はそこまで変わらない。

とされています。

痛いストレッチは効果が高い?

イタ気持ちいい、くらいのストレッチを、1日短時間でも続けることが良いとされています。痛くなるまでストレッチをやり過ぎてしまうことは、体への負担です。

硬く凝り固まった筋肉に、大きな負荷をいきなりかけてはいけません。その人に合った強度で、少しずつ行うのが重要です。

お風呂で体を温めてから行うと、筋肉が柔らかくなっているため効果的です。

筋肉を意識しないと効かないの?

ストレッチや筋トレをするときは、使う筋肉を意識した方が効果は上がりやすいです。何かをしながら、でも、もちろん効果はあるでしょうが、意識をした方が、より効果が高いと言えそうです。

身体のどこを使って何を鍛えているのかを意識しながら体を動かす方が、何も考えないよりも効果が高いことを「意識性の原則」と言います。

普段意識して使っていない筋肉は、イメージ通り動かしにくいのです。人間は体の前側よりも体の後ろ側を意識しずらいですよね。または、腕で器用にできることが、足ではできなかったり、利き腕の方が使いやすいので、ついつい利き腕ばかり使ってしまうために、もう片方の腕ではできないことが多かったりします。

この脳と筋肉を連動させる能力が、マインド・マッスル・コネクション(MMC)です。

バレエや踊りの世界では、足を上げる時や片足で立つ時などに、モモ裏の筋肉、ハムストリングスを使うように意識します。しかし、ダンス経験者でない方は、いつも歩行などでもよく使っているモモの前側の筋肉(太腿前側の大腿四頭筋)の方をついつい使って足を上げてしまいます。つまり、ハムストリングスのMMCが未発達、ということになります。

ストレッチをしている時も、伸ばしている部分に軽く触れる、柔らかくしたい筋肉の構造を理解して、意識する、温かくなった、疲れた、などを感じとる、などがMMCを発達させる一つの方法です。

ストレッチを「やり貯め」してもいい?

ストレッチの効果持続時間は6時間程度とされています。なので、もしあなたが本当に、一刻も早く体が柔らかくなりたい場合には、朝ストレッチをし、その効果が薄れてきた夕方にまたストレッチ、という方法が効果的です。

体を動かす職業でない限りは、なかなかストレッチの時間を1日に2回も3回も、敢えて確保することは難しいかもしれませんが、空いた時間に30秒体を伸ばしてみる、など、隙間時間にちょこちょこストレッチを挟むことは可能かもしれません。また、3日に一度長時間「やり貯め」するよりも、短時間でも毎日続ける方が良いという事だけは事実です。

ストレッチの効果

そもそも体は脳みそからの指令で動きますので、どこをどう動かしたいのか、理解と意識をしておく必要があります。また、体の小さな変化やストレッチの成果に気づくことができ、モチベーションアップにもつながります。

ストレッチの効果をしっかり理解する

ストレッチの主な効果は・・・

  • 体の柔軟性を高める
  • ケガの予防
  • 筋肉疲労の回復
  • 心と体をリラックスさせる
  • 筋肉の衰えを予防する

などが上げられます。

筋肉が緊張して硬くなり、老廃物がたまっていると、体がダルくなったり疲れやすくなったりします。自分でストレッチしてほぐすことにより、筋肉の血行を改善し、老廃物の排出を助けます。

また、人間の体は使わない筋力や機能は年齢に関係なくどんどん退化するようになっていますので、これを予防する効果もあります。(廃用性萎縮)

身体が柔らかいとエネルギー消費量が多くなる

体の脂肪を燃やしたい方は、ぜひ注目したいポイントです。人間の消費エネルギーを見てみると・・・

基礎代謝

生命維持に必要なエネルギー。呼吸や血流や脳の働きなど。こちらは全体の消費量の60~70%と言われています。

身体活動代謝

運動などで消費されるエネルギー。全体の20~30%

食事誘発性熱産生

消化吸収で消費されるエネルギー。全体の10%

体を意識的に動かす運動は、身体活動代謝ですが、実は通勤や家事などで消費するエネルギーを増やすことこそ重要とされています。(非運動性身体活動代謝:NEAT)

ストレッチによって柔軟性を高めたり、疲労のたまらない体づくりを習慣にすることによって、階段の上り下りや歩行が苦にならなくなり、一日の活動量が増えると考えられています。