体が硬い、とは何なのか?

体が柔らかい、という言葉を聞いて、まず想像するのは、開脚をして、ベターっと前に上半身がつくというストレッチ。反対に、「体が硬い」で思い浮かべるのは、そういった類のストレッチをやろうとしているが、背中が曲がってしまって、手だけが前に伸び、「うーん・・イタタタタ」と頑張っている様子。
このようなイメージの「体が硬い」とは、「つまり関節の可動域が狭い」事を意味します。そして関節自体は、構造は人間は皆同じなので、関節のそれぞれの柔らかさの違いは、つまり、まわりの筋肉の柔軟性が関係しているということになります。
女性は男性より体が柔らかい?
体の柔らかさの点では、女性は、男性より有利であると言えるかもしれません。
まず股関節に関して言えば、女性は妊娠・出産をするために、女性の骨盤は、横幅が広い構造になっています。大腿骨が収まる股関節も幅が広く厚みが少ないため、可動域が大きくなっているのです。

また、股関節以外では女性には「猿手」が多いなど、関節の構造に男性との違いがあります。(肘関節の過伸展:肘の関節の突起上部が男性よりも短いことによる)
筋肉の柔らかさに関しては、女性ホルモンであるエストロゲンの働きが、女性の柔軟性に対し、何らかの作用を及ぼしていると考えられてきました。
また、女性ホルモンの1つである”リラキシン”には「靭帯を緩ませる作用」があり、妊娠期間に多く分泌され、骨盤を広げて、赤ちゃんの通り道を確保する役割を担っています。
このように、「関節の構造」や「ホルモンの分泌」などが柔軟性にも影響を与えていることは確かです。
体を柔らかくする方法とは?
筋肉の緊張をほぐす。
関節周りを柔らかくするための効果的なストレッチ。

この2点がまず大事です。しかし股関節を柔らかくしたいからと言って、足を開脚するストレッチばかりをやっていては、効果的ではありません。ガチガチに固まった筋肉を無理やり伸ばすだけのストレッチは、怪我のもとになり、柔軟体操を続ける事を諦める原因となり逆効果です。
また筋肉は独立しているわけではなく、すべてどこかで繋がっているので、一箇所を集中して柔らかくしようと取り組むよりは、柔らかくしたい関節の周りを広い範囲でほぐしてゆくほうが効果的と言えます。
なぜあなたは体が硬いのか?
さて、柔軟体操に取り組む前に、なぜあなたの体が硬くて、何の目的でストレッチに取り組みたいのか、しっかり意識しましょう。柔軟体操の効果を高めるためには、体へのアプローチと同時に、脳へのアプローチも大切です。
体が硬い原因1:使っていないから
筋肉は、使わなければ血行が悪くなります。最近では、デスクワークなどで同じ姿勢を一日中とっているために、筋肉が硬くなってしまっている方が増えています。筋肉と関節は使わないと、どんどん伸縮機能が衰えてしまい、硬くなっていきます。悪い姿勢で常に過ごしていることも、筋肉を効果的に使えていない原因になっている可能性があります。
人間の体は使わない筋力や機能は年齢に関係なくどんどん退化するようになっています(廃用性萎縮)
体が硬い原因2:ストレスや緊張

これは意外に見落としがちな点だと思います。いつも緊張して、肩に力が入っている人は、肩周りはガチガチに硬くなってしまうでしょう。
また、ストレスの多い方は呼吸が浅くなり、十分な酸素が身体中に行き渡らないことになります。そして上半身、肩まわりで言えば、本来は内側から呼吸によって自然に動かされ、ほぐされるはずの筋肉も、固まったままになってしまうのです。肩はわかりやすい例ですが、緊張によって筋肉は無意識のうちに緊張状態になってしまうので、全身のコンディションにも関係しています。
体が柔らかくなるメリット・目的
「股関節、ベターっ」に憧れを持つ方は、多いと思います。例えそれが、日常生活に全く必要ないことでも、「体が柔らかくなりたい」という思いは、「英語が話せるようになれたらなぁ」という願いなどと同じように、多くの人の心の中にあると思います。
柔らかくなりたい、と漠然と願うよりも、まず体の柔軟性を高めるメリットや、ストレッチを行うこと自体の効果を認識しましょう。
- 健康な体を保つ
- 疲れが溜まりにくく、代謝が上がる
- ケガの予防
- パフォーマンスの向上
股関節を柔らかくするストレッチ
股関節の柔軟性を高めるためには、体の硬い人はいきなり開脚をしては逆効果です。まずは、股関節のまわりの筋肉、お尻の筋肉をほぐしましょう。
骨盤まわりをほぐす
たったこれだけ!気持ちよくユラユラ
1 仰向けに寝そべって膝を立てる。
2 立てた膝をユラユラ動かす。
腰の後ろが床から離れないようにしましょう。
お尻の筋肉をほぐす
お尻から腰まわりがキモチいい
1 仰向けに寝そべって膝を立てる。
2 足を組む。
3 組んだ足の方向に両膝を倒す。
4 反対側も同様に行う。
背骨まわりから股関節にもアプローチ
肩関節と股関節を同時に動かして効果大
1 仰向けに寝そべり、膝を立てる。
2 体の前で、手首と手首を持つ。
3 膝を右に倒し、腕は左に倒してキープ。
4 今度は膝を左に倒し、腕は右に倒してキープ
座ってできるストレッチ
筋肉は緊張した後は弛緩するという特性を利用したストレッチ
1 足の裏と足の裏を合わせる。
2 自分の方に引き寄せる。
3 両膝を上から手で押して、逆に膝は閉じるように力を入れ、2秒キープ
4 力を抜いて、前に倒れる。
3回程度繰り返します。
片足ずつ開脚するストレッチ
両足を開脚する前に、片足ずつストレッチしましょう。
1 片足を曲げ、もう片方の足は横に伸ばす。
足が開く角度は90度くらいでOK
2 伸ばした足の方に体を倒す。
脇腹を伸ばすようにして!
3 ゆっくり元に戻り、反対側も行う。
痛キモチいいところまででOK
股関節をまわす。寝ながらできるストレッチ
やり方
1. 仰向けに寝る。
2.片ヒザを抱えるようにもつ。まずはまっすぐ、次は脇に抱えるように、最後に反対の肩に近づけるように、3方向に、それぞれ数秒間キープする。
3. 足全体を大きく回す。
腰の後ろが床から離れないように注意!
背骨まわりから股関節にもアプローチ
肩関節と股関節を同時に動かして効果大
1 仰向けに寝そべり、膝を立てる。
2 体の前で、手首と手首を持つ。
3 膝を右に倒し、腕は左に倒してキープ。
4 今度は膝を左に倒し、腕は右に倒してキープ
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